総合 Exhibition

丹羽良徳 “理由への反撃”

2016年2月13日(土)– 3月6日(日)

水たまりAを水たまりBに移しかえる
2004, シングルチャンネルビデオ(10’53min)

2月13日(土)
19:00-19:30 アーティストトーク
19:30-21:30 合同オープニング(3000円、食事、ワンドリンク付き)

人間は理性的な社会を構築し尊重しあう動物である、というのは人間社会での最低限守るべき原則である。そのために、様々な経済的、社会的、政治的なシステムが発明され、人々はそれらを受けいれることで社会を正常化を維持し発展させてきた。しかしながら、我々の理性の根源はどのような場で発生しうるか、またはそれらは人間社会にどのような影響を与えうるかは、それぞれの地域による社会通念や歴史に準拠することが多いはずなのだが、一方でどこか世界基準的な一つの法則が世界を覆っているのではないかという研究も存在する。今回は、2004年からの自身の制作活動のなかから「理性」という領域に関わる映像作品に軸に、初めて構成したセルフ回顧展。また2016年3月からウィーン滞在となるため、この展示が同時に、出国記念展となる。


丹羽良徳
アーティスト
1982年愛知県生まれ。多摩美術大学映像演劇学科卒。不可能性と交換を主軸とした行為や企てを路上などの公共空間で試みることで、社会や歴史へ介入する作品を制作。多くの場合は、交渉の失敗や他者からの反応などを含めたプロジェクトの一部始終を収めたヴィデオ記録を展示している。東ベルリンの水たまりを西ベルリンに口で移しかえる「水たまりAを水たまりBに移しかえる」(2004)など肉体を酷使した不毛な交換行為に始まり、震災直後の反原発デモをひとりで逆走する「デモ行進を逆走する」(2011)や都市の抗議活動を無関係な観光地まで延長させた「首相官邸前から富士山頂上までデモ行進する」(2012)など自身の状況を転置することで眼に見える現実を解体し、「公共性」という幻想のシステムの彼岸を露出させる新たな物語を作り出す。近年は共産主義の歴史への興味から社会主義者を胴上げしようと現地の共産党で交渉する「ルーマニアで社会主義者を胴上げする」(2010)やソビエトが解体されたロシアの一般家庭を訪問してレーニンを捜し続ける「モスクワのアパートメントでウラジーミル・レーニンを捜す」(2012)など移り行く思想哲学とその歴史を横断するプロジェクトに展開。その共産主義を巡るシリーズ全4作品は、森美術館に収蔵される。近年の展覧会に「Double Vision: Contemporary Art From Japan」(モスクワ市近代美術館、ハイファ美術館)「あいちトリエンナーレ2013」(愛知芸術文化センター他、名古屋市近郊)、「六本木クロッシング2013 OUT OF DOUBT」(森美術館)他。英アートマガジンArtPreview “Future Greats 2014”ノミネート