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南隆雄 “日時計”

2022年9月17日(土)- 10月30日(日)

“Sundial, Paris” (detail), 2022, set of 12 C-prints, 24x35 cm each. ©Takao Minami

この展覧会では、写真と映像による作品3点を展示します。

「日時計、パリ」(2022) は、路上で見つけたオブジェクトを使って地面に日時計を作り、フィルムカメラで撮影した写真作品です。午前8時から始まる文字盤とグノモンの配置は、日時計を設置する場所の緯度と経度、日付によってあらかじめ決まります。一方で、サインとなるゲームカード、鏡の破片、メトロチケット、割れた風船、自転車のスタンド、キャンプ用マット、水道の蛇口、バゲットなどは道端で自身が即興的に組み合せたものです。それらを12枚並べてみると、必然の配置と偶然の取り合わせ、そして撮影した時間を示す影によるコンポジションとなって現れました。

「日光写真:上甑、中甑、下甑 」(2017) は、上記作品の原形ともなったサイアノタイプによる作品で、鹿児島県の甑島列島にて市販の日光写真キットを使って制作しました。水平な地面の上で常に箱の一方を真北に向け、カメラを模したキットの箱の上面に装飾として空けられていた穴を通して入った太陽光によって、箱の中の印画紙を感光させました。こうして3枚の紙片には上甑、中甑、下甑の各島で撮影した時間が刻まれると同時に、自身で塗布した感光溶液のムラや刷毛跡が、太陽を思わせるイメージの中に再現されています。

「Architecture Survey: Casa Wabi」(2020)はメキシコのオアハカ州にあるアーティストインレジデンスCasa Wabiの滞在中に制作したインスタレーションです。監視カメラで撮影した映像は、安藤忠雄による建築とそこから望む風景を主にクローズアップよって捉えています。それらのイメージを上下、左右、ネガとポジを反転して組み合わせた映像と、その動きとシンクロする監視カメラを併置することで、建築をオルタナティブな方法で記録し再生することを試みました。

日時計が僕にとって興味深いのは、時間や光、影といった映像的な要素が、文字盤や針などの造形と一体になるところにあります。とりわけグノモンは、光と影をつなぎ時刻を示す象徴的な機能を持ちます。これは回転する監視カメラの動きとどこか通底するものを感じます。つまり、ひとつの軸を媒介として、時刻やイメージをあらわすと同時に、なにかを指し示すような存在でもあるということです。こういった点におもしろみを感じて制作してきた近作を観ていただけたらと思います。

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南隆雄
1976年大阪生まれ、現在パリ在住。映像や音響の存在論を考察した静謐なインスタレーションや映像作品で知られる。これまでの個展に北海道立北方民族博物館 (2019)、オオタファインアーツ (2016他)、水戸芸術館 (2010)、ゲーテインスティテュートハノイ (2009) など。第12回リヨンビエンナーレ (2013) などの国際展にも参加、国立新美術館 (2016)、上海21世紀民生美術館 (2016)、パラッツォ·グラッシ (2014) などでグループ展や上映多数。